テニスを続けていると、こんな場面が出てきます。フォアハンドではちゃんと打てているのに、バックハンドに来た瞬間だけ急に当たり損なう。ラケットの芯を外して、ポトッとネットにかかる。コーチに「バックに来たら怖がってる」と言われたこともあるかもしれません。
7年やってきたのに、バックだけが不安定なまま——そういう方は少なくないです。フォアと同じ感覚で打とうとするとズレる、かといってどこを直せばいいのかピンとこない。そのもやもやをひとつずつ解きほぐしていきます。
片手と両手、どっちで打つのがいい?

バックハンドには「両手」と「片手」の2種類があって、どちらが正解というものはありません。ただ、それぞれに向いている状況があります。
両手バックハンドは、打点が多少ずれても返しやすいのが特徴です。両腕でラケットを支えるので安定感が出やすく、体の回転が自然に使いやすい。高い打点からでも力を伝えて強く打ちやすいのも利点です。大人になってからテニスを始めた方や、試合でとにかく安定して返したいという方には、両手の方が早く形になります。
片手バックハンドは、リーチが長くて可動域が広いのが強みです。遠い球や体から離れた低い球に対応しやすく、スライスやドロップへの切り替えもしやすいので、次に何を打つか相手に読まれにくい利点もあります。体をうまく使えれば威力も出せます。ただ、打点や準備のタイミングが両手より厳しく、高い打点が苦手という弱点があります。
どちらにしても、「やっぱりもう一方に変えようかな」と迷い続けるのが一番上達を遅らせます。一度決めたら、その打ち方を繰り返して体に覚えさせるのが近道です。
バックハンドが安定しない人へ
バックハンドが安定しないとき、多くの場合は「手打ち」になっています。腕だけでラケットを引いて、肘や手首を多用して打つ形です。腕だけだと毎回のスイングがばらつくので、打点が少し違うだけで当たりがまったく変わってしまいます。
安定させるカギは「体の回転で打つ」ことです。
テイクバックのとき、ただ腕を後ろに引くのではなく、肩をしっかり入れて上半身をひねります。その「ひねった状態」から、上半身を戻す回転の勢いでスイングします。腕が後からついてくるイメージです。この動きができると、スウィングの軌道が安定して、打点のばらつきが小さくなります。
手首は固定が基本です。特に両手バックハンドで手首をこねてしまうと、毎回打ち方が変わってフォームが定まりません。インパクト前後で手首の角度をキープするように意識してみてください。目安として、手の甲と手首の角度が90度くらいに保たれていると、面が安定しやすいと言われます。
もうひとつ大切なのが体重移動です。打つ瞬間に後ろ足から前足へ体重を移すことで、下半身から体幹、腕へと力が伝わります。フィニッシュは中途半端に止めず、ラケットを肩の上あたりまで振り切る。途中で止めると力が逃げてしまいます。
振り遅れてしまう人へ
バックハンドで振り遅れるのには、いくつかのパターンがあります。
まずテイクバックが大きすぎる場合。大きく引いた方がパワーが出るように感じますが、準備に時間がかかってボールが来るタイミングに合わなくなります。テイクバックはコンパクトでいい。むしろ小さくまとめた方が、スイングのリズムが安定します。
もうひとつが「2度引き」です。一度引いてから、ボールに合わせてもう一度引き直してしまうパターンです。こうなるとタイミングが完全にずれます。引いたらそのままスイングに入る、という流れを体に覚えさせる必要があります。
対策は「早めに準備して、溜めを作る」ことです。ボールが自分側に来ると分かった瞬間に、さっと肩を入れて体をひねっておく。そのまま「溜め」の状態で待って、タイミングを合わせてスイングします。この「準備→溜め→スイング」の流れがスムーズになると、振り遅れがぐっと減ります。
右利きの場合、右足を踏み込むことも重要です。フォアハンドは左足を踏み込みますが、バックハンドはその逆で、右足が前になります。フォアの感覚のままだと迷いやすいので、「バックは右足が前」と覚えておくとよいです。右足を前に踏み込めないまま打つと、体が開いてしまってボールが外に外れやすくなります。ボールを体に引きつけてから打つ、という感覚も合わせて意識してみてください。
片手バックハンドの人へ
片手バックハンドは、準備が両手より少し早く必要になります。打点がずれると立て直しがしにくいので、体の回転と踏み込みが特に大切です。
コツは「ラケットヘッドを一度落としてから、下から上へ振り上げる」ことです。この動きでトップスピン(縦回転)がかかって、ボールが山なりに飛んでからコートに収まりやすくなります。フラットに当てようとするより、縦回転をかける意識の方が安定します。
打点は体の前でとらえます。後ろで打つと力が伝わりません。「ここで当てる」という打点を早めに決めて、そこにボールを迎えにいく感覚です。
ただし、両手のように体を大きく回しすぎると、体の開きが早くなってミスにつながりやすくなります。片手は面を残す意識で、回転は控えめに、踏み込みで打つイメージのほうがまとまりやすいです。可動域が広い分、余計な動きも入りやすいので、体の使い方はシンプルにすることを意識してみてください。
家でできる・スクールで意識できる練習の入口
打ち方の感覚をつかむために、試してみてほしいことがあります。
まず素振りです。壁の前やリビングで、ラケットを持って「肩を入れてひねる→上半身を戻す」動きを繰り返します。スイングしながら手首が動いていないか確認します。実際のボールを打つ前に、この動きを体に覚えさせておくと、コートでのミスが減ります。
壁打ちでは、テイクバックをコンパクトにして、ボールが来る前に早めに準備する練習ができます。壁に当たって返ってくるタイミングが速いので、準備の早さを強制的に鍛えられます。
スクールの球出し練習では、右足の踏み込みとフィニッシュを意識してみてください。ラケットを肩の上まで振り切って止めず、フォームを最後まで丁寧に作ることで、体が正しい動きを記憶していきます。
速く打つよりも、まずゆっくりと正確に。そして片手・両手のどちらかを決めて、同じフォームを反復することが、遠回りに見えて一番の近道です。
「わかってるのに打てない」という方へ
頭では理解できているのに、試合になるとどうしても腕に力が入ってしまう——そういうことがあります。
これは意識の問題だけではなくて、体全体の状態が影響していることがあります。力みや緊張が抜けないとき、下半身と上半身の連動がうまくいかないとき、体の回転で打とうとしても腕が先に動いてしまう。技術的な練習と並行して、体そのものの状態を整えると自然に腕の力みが抜けてきた、という方がいます。
プロ選手たちが技術だけでなく体のコンディションを細かく管理しているのも、こういう理由があるからです。
詳しくはこちらの記事もご覧ください。
テニスで体の軸を整えるとどうなるのか
体の使い方を根本から変えたいという方には、こちらの記事をおすすめします。
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