テニスのゲームが始まって、サーブのポジションについた瞬間に「また入らなかったらどうしよう」とぎゅっと体に力が入る——そういう方は多いです。
フォアもバックもそこそこ返せるようになってきたのに、サーブだけが怖い。1stが外れてダブルフォルトが頭をよぎり、2ndを置きにいったらネット。スカーンと気持ちよく入る感覚をなかなか掴めないまま、週1のスクールを続けている。そんな状況ではないでしょうか。
このページでは、サーブで詰まりやすいポイントをひとつずつほぐしていきます。
サーブは「トス」で半分決まる

サーブの安定を支える土台は、大きく3つです。正確なトス、毎回同じフォーム、そしてラケット面をまっすぐボールに当てること。この3つが揃って初めて、狙ったところへ入るサーブになります。
中でも一番崩れやすいのがトスです。トスがぶれると、それに合わせてフォームが変わり、当たりもずれます。「今日は当たり損ないが多いな」というとき、多くの場合はトスの位置がいつもと違います。
裏を言えば、トスさえ安定すれば、フォームとインパクトは自然にまとまりやすくなります。ほかの要素を直そうとする前に、まずトスを整えるのが遠回りに見えて近道です。
サーブが入らない人へ
1stサーブが外れ続けるとき、原因はたいていトスの高さか位置にあります。
高すぎるトスは、ラケットとのタイミングが合いません。ボールがどんどん落ちてくるので「今打つのか、もう少し待つか」と迷いが生まれ、スイングがバラバラになります。低すぎるトスは、打点が下がってネットしやすくなります。高さの目安は、ラケットを伸ばして打てる打点より少し高いくらい(ボール1個〜ラケット1本分ほど上)です。打つまでに1秒ほどの間ができるくらい、とも言われます。
トスの前後位置も大事です。体の前すぎると、ラケット面がフラットに当たりやすくなってネットへ。後ろすぎると体が窮屈になって、腕だけで打つ手打ちになります。ボールを打つ位置は、体の少し前・利き腕側で、腕を伸ばした高い位置が基本です(高さについては後の「威力が出ない人へ」でも触れます)。
対策として試してほしいのが、近い距離からの練習です。サービスラインの内側など、近いところから打つと「当たる感覚」が分かりやすくなります。コート全体を使おうとすると、飛ばそうという意識が強くなって体に力が入りやすい。まず当たる感覚を作って、そこから少しずつ距離を伸ばしていく方が上達が早いです。
動きを分割するのも効果的です。トスだけ練習する、スイングだけ素振りする、という具合に切り分けると、どこが崩れているか見えやすくなります。
1stが入らないときは、思い切って入りやすいサーブ(スピードを落として確率重視)に切り替えることも選択肢のひとつです。ダブルフォルトへの怖さが抜けると、かえってサーブが安定してくることがあります。
トスが安定しない人へ
「毎回同じ場所に上げているつもりなのに、ばらつく」というのはよくあることです。
トスのポイントは、腕をまっすぐ上に伸ばしながら、手首を使わずに指先からそっとボールを放すことです。投げ上げるのではなく、「上にそっと置きに行く」イメージです。手首を使ってしまうと、毎回ボールの離れ方が変わってトスがばらつきます。
確認方法として、床に目印(コイン等)を置いてトスを上げ、同じ場所にボールが落ちてくるか確認してみてください。バラバラな場所に落ちるようなら、腕の軌道かリリースのタイミングにばらつきがある可能性があります。スクールのコートでは難しいですが、家の廊下や庭で試すと自分のトスの癖がよく分かります。
もうひとつ意識してほしいのが「ボールを最後まで目で追う」ことです。トスを上げた後、視線をボールから離してしまうと、打点がずれます。ボールがラケットに当たるその瞬間まで、目を離さないようにしてみてください。
威力が出ない人へ
力を込めて打てば打つほど、サーブは速くなる——と思いがちですが、実際は逆です。力みはスイングの邪魔をします。
サーブの威力は、肩を支点にラケットの重さを使って振ることで生まれます。体の力でボールを押し込もうとすると、腕がつっぱってラケットのヘッドが走りません。脱力して振ったとき、ラケットのヘッドがスパーンと走る感覚がつかめると、打った瞬間に「あ、これだ」と分かります。
サーブの力は、腕だけでなく下半身からも生まれます。膝を軽く曲げてから伸び上がる動きと、体重移動・体の回転で作った力が、体を通ってラケットに伝わる。この下半身の連動が使えると、力まなくても自然とスピードが出ます。
インパクトの前後で、前腕が自然に内側に返る動きがあります(プロネーションと呼ばれます)。これはサーブの威力を出す動きの一部ですが、無理に手首をひねって作るものではありません。力を抜いて振れれば自然に起こる動きで、意識的に作ろうとするとかえって力みが増えます。
コツは「全体はゆるく、インパクトの一瞬だけ力を入れる」です。それまでの動作を脱力で準備しておいて、ボールに当たる瞬間だけグッと力を入れる。この緩急がサーブの威力と安定を両立させます。
高い打点でボールをとらえることも大事です。打点が低いとラケット面がネットを向きやすくなります。できるだけ高い位置でとらえることで、ネットを越えてコートに収まる角度が作れます。
なお、サーブは肩に負担がかかる動作です。無理に力を入れたり、不自然に腕をひねろうとしたりしないでください。痛みを感じたら、そのまま続けず、専門家にご相談ください。
リズムが崩れる人へ
トスは上がっているのにスイングが合わない、なんとなく毎回バラバラな感じがする——そういうときは、トスとスイングが別々の動きになっていることが多いです。
「いち・に」と心の中でカウントしながら、トスを上げる動作とスイングを一連の流れにしてみてください。一定のリズムで繰り返すことで、体がタイミングを覚えていきます。サーブは他のショットと違って、自分のペースで始められる唯一のショットです。焦らず、毎回同じリズムで入ることが、安定への第一歩です。
スクールや自宅でできる練習の入口
まず取り組みやすいのがトス練習です。ラケットを持たずにボールを上げるだけ。床の目印と同じ位置に落ちてくるかを確認します。単純な作業に見えますが、これを繰り返すと手首の使い方と腕の軌道が安定してきます。
次に、ネット付近から面をまっすぐ当てる感覚を作ります。コート全体を使わず、ネットのそばからボールに面を当てる練習です。「当てる」の感覚が先で、「飛ばす」は後でいい。
距離を作る前に動きを分割するのも効果的です。トスだけ、スイングだけ、インパクトだけ、と切り分けて意識します。一気に全部やろうとするより、ひとつずつ確認する方が体が覚えやすいです。
脱力して振る練習では、思い切ってゆっくり打ってみてください。「ゆっくり脱力で振る→インパクトだけ力」の感覚を先に作ってから、徐々にテンポを上げていくと、力みのないスイングが身についていきます。
速く打つより、まず入る・当たる感覚から。それが積み上がってくると、自分のサーブの手応えが変わってきます。
「頭では分かっているのに入らない」という方へ
トスも意識している、力みも気をつけているのに、試合になると崩れてしまう——そういうことがあります。
体全体に余計な力みがあると、腕だけで補おうとして手打ちになりやすくなります。脱力しようとしても力が入る、下半身と上半身の連動がうまくいかない、そういったことが技術の再現性を下げることがあります。
体そのものの状態が整うと、サーブが安定してきた・自然に振れるようになった、という方がいます。プロ選手たちが技術練習と並行して体のコンディションを管理しているのも、こういった理由があるからです。
詳しくはこちらもご覧ください。
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