ネット前に詰めてボレーの体勢に入った瞬間、なぜかいつもと感覚が変わる。
ストロークのときはあんなに打てていたのに、ボレーになると急に手が縮こまる。前に弾き飛ばしたつもりが大きくふかしてアウト。逆に慎重にいこうとすれば今度はネットに直撃する。そういうことが、テニス歴7年・週1のスクールに通っていても続いているという方は少なくないです。
ストロークとボレーは、見た目は似ていても使う感覚がまったく違います。この記事ではボレーでよく起きるつまづき(ふかす・飛ばない・面が作れない)をひとつずつ整理していきます。
ボレーは”振らない”が9割

ストロークとボレーで一番違うのは、ボレーはラケットを振らないということです。
ストロークは打点に向かってラケットを振ってボールに力を伝えますが、ボレーは違います。速い球に対してラケットを振り始めると、球が来るタイミングと振り終わるタイミングがずれて、面がぐらぐらします。特に相手のボールが速いほど、振れば振るほどタイミングを合わせにくくなります。
ボレーの基本は「構えたラケットを打点へ運んで、前に押し出すだけ」です。スッと体ごと前に出す、その動きの中でボールをとらえるイメージです。
グリップはコンチネンタルグリップ(包丁を握るような持ち方)が基本になります。フォアとバックで持ち替えなくていいので、相手の球に素早く反応できます。ストローク中心に練習してきた方はウエスタングリップ(握手するような持ち方)に慣れているケースが多いですが、ボレーではラケット面のコントロールが難しくなります。グリップを変えるのは最初はぎこちなく感じますが、慣れると反応速度が上がります。
面が安定しない、コントロールできないと感じている方へ
ボレーで面がぶれる原因の多くは、手首がゆらゆら動くことと、ラケットを後ろに引きすぎることです。
ラケットを後ろに引くと、そこから前に振る動作が始まります。それはもうストロークと同じ動きです。引くのではなく、体の前にコンパクトにセットしたまま、肘ごと前に押し出すのが正解です。腕とラケットをひとつの板のように一体にして、その板を前に動かすイメージで動かすとぶれが減ります。
手首は固定します。手首を固めると不自然に感じる方もいますが、意識すべきは「グラグラさせない」ことです。ラケットを不自然に立てようとする必要もありません。自然体で構えて、体の前でボールをラケット面に「当てて止める」感覚が基本です。
面の角度は少し上向きに作っておくのが基本です。ただし上向きすぎると今度はふかしになります。「少しだけ上を向いている」程度で十分です。
ボレーが飛ばないと感じている方へ
ボレーで「思ったより飛ばない」と感じるとき、多くの場合は手や腕だけで飛ばそうとしています。
ボレーは足で飛ばすものです。具体的には前足を踏み込んで、体重をボールに乗せます。体重が乗った分だけ、自然に深いところまでボールが飛びます。
このための準備が大切です。相手がボールを打つ前に「スプリットステップ」を入れます。軽く両足でジャンプして着地するあの動作です。スプリットステップで構えが整うと、どちらの方向にも一歩踏み出しやすくなります。踏み込む前足が準備できていれば、体重を乗せる動作がスムーズになります。
ポン、と踏み込んで体ごとボールを押し出していく。手や腕に力を入れるのではなく、体が前に動く力でボールを飛ばすイメージです。
ふかしてアウトになってしまう方へ
ボレーが大きくふかす一番の原因は、ラケット面が上を向きすぎることです。
特に高い打点(ハイボレー)でよく起きます。速い球が来ると、つい面が上を向いたまま当ててしまいます。そのまま当てると、ボールはそのまま上方向に飛んでアウトになります。ハイボレーでは、ボールより少し高い位置にラケットをセットして、上から押さえるように当てると、面が上を向きにくくなります。
対策は、上を向きすぎている面を、基本の「少しだけ上向き」まで立て直すイメージを持つことです。立てすぎると今度はネットに突き刺さるので、あくまで「少し上向き」に戻す。そのうえで、振るのではなく前に押し出す方向でコントロールします。
逆にネットにかかることが多い低い球のときは、少しだけ面を上向きにして、ボールをやさしくすくうように前へ運ぶと、ネットを越えたあとに収まりやすくなります。
面の角度を状況によって作り分けること、それ自体がボレーのコントロールです。どちらに飛ぶかは、ラケットを振る力よりも、面の角度と押し出す方向で決まります。
スクールや自宅でできる練習の入口
ボレーの感覚を作る練習は、難しいことは必要ありません。
まず壁打ちです。壁に向かって近い距離から当ててみます。このとき「振らずに押し出す」だけを意識します。ラケットを後ろに引かずに体の前でとらえる。この感覚をまず体に染み込ませます。
次に、相手と向かい合って近い距離でボレー対ボレーをするボレーボレーです。スクールのウォームアップでよくやる練習です。短い距離の中でボールを返し合うことで、タイミングの取り方と面の安定感が自然に身につきます。手首を固定してコンパクトにセットする習慣も、ここで作れます。
意識することは3つです。振らない・コンパクト・足で飛ばす。この3点が整ってくると、ネット前のボレーが変わります。
意識しているのに、なかなか安定しないという方へ
振らないように意識しても、つい手や腕だけで合わせてしまう。踏み込もうとしても体重が乗らない。そういう感覚が続くことがあります。
ボレーの安定は、手先の器用さよりも、体の前でボールをとらえられる構えと、体重を運べる下半身・余分な力みの抜け具合に左右されます。体に力みがあったり、動き出しで軸がぶれたりすると、面を作る精度も体重移動の感覚も安定しにくくなります。
プロ選手は技術を磨くだけでなく、体そのものの状態を整えています。体の力みが抜けて、軸が整った状態でボールをとらえるから、あの精度が生まれています。
体の使い方を変えてから、ボレーが安定してきたという方がいます。技術練習と合わせて、体そのものを整えることを考えてみると、変化が出てくることがあります。
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